レポート

水都大阪の新しい顔

▲グランフロント大阪西側全景。
Full view of Grand Front Osaka on the west side.
¶:写真撮影/Photography|日建設計/Nikken Sekkei

「関西最後の一等地」と言われた大阪駅北地区貨物ヤード開発24haのうち、先行開発区域7haが本年4月にグランドオープンしました。
 このスーパーブロック開発におけるデザイン骨格は大きく次の2つのテーマに集約されます。ひとつは「水と緑と賑わいの系」を多重多層に重ね合わせることにより、街歩きそのものが楽しめる「道」空間を立体的に創り出すことです。言い換えれば現代版の立体商店街づくりであり、水都大阪を彷彿とさせる新名所づくりでもあります。もうひとつは、未来の生活を開拓・提案・商品化し、新業態へと進化させるための「ナレッジ」の集約とイノベーションの場づくりです。
 全体構成は南から順に、1日の乗降客数が約250万人におよぶ大阪駅からの人々を受けとめる「うめきた広場」と多目的ホール「うめきたSHIP」、低層の商業施設とオフィスタワーからなる「南館」。ケヤキ並木の道路を挟んで、「ナレッジキャピタル」を核として商業施設・コンベンションセンター・シアターなどが複合した低層部とオフィスタワー(タワーB)・ホテルタワー(タワーC)からなる「北館」。自然の風情漂う緑地公園を挟んで、最北部に高層住宅「オーナーズ・タワー」という組み立てとなっています。
 大阪駅とは、2階の広幅デッキと大階段により「うめきた広場」「南館」が直結。大水面に浮かぶ楕円の広場は、大阪ステーションシティ・南館・うめきたSHIPに3方を囲まれ、さまざまなイベントなどの舞台ともなる水都大阪の新しい顔となります。「創造のみち」と称する幅6mの大動脈は「南館」「北館」のほぼ中央部を貫通し、吹き抜けを介して見通しのよい商業空間を展開しています。この道は「北館」では、自然光にあふれる、高さ37m、広さ約1,000m2のアトリウム「ナレッジプラザ」へと誘います。このプラザは、提案型ショールーム、サロン、ナレッジ系オフィスなどが螺旋状に上昇するエスカレータによって連続する「グランフロント大阪」の象徴で、低層部の屋上庭園やオフィスタワーの軒天井などの断面構成要素を吹抜けに露呈させてアクティビティの高まりを演出しています。「創造のみち」はさらに高層住宅まで連続し、「南館」から高層住宅までの建物外周部に連続する外部回廊と結ばれ、街区全体の回遊性を創出しています。
 II期開発完成後には、西側道路がシンボルロードとなることから、西側低層部は軒高を45mに統一し、外観は、連子格子をイメージしたコンクリートルーバー、ガラス、アーキテクチュアルコンクリート壁を、内部機能に合わせて変化させています。高層部は、「南館」「北館・タワーB」の2棟をガラスのツインタワーとして見立て、各々が自然換気の視覚化をデザインテーマに先進性を表現したのに対し、ホテル・住宅は暖色のフレームデザインによって、癒し・寛ぎを表現し、群像全体としてのアイデンティティを強調しています。
 この「グランフロント大阪」が、大阪・関西復権に向けた強力な起爆剤となり、継続的な推進エンジンとなることを祈ってやみません。

川島克也|日建設計 設計部門代表

A New Face for Osaka, City on the Waterfront

▲西側見上げ。
Looking up at the towers from the west side.
¶:写真撮影/Photography|日建設計/Nikken Sekkei

In April 2013 the grand opening was held for the 7-hectare complex that represents the first phase of development of the 24-hectare site of former JR Osaka Station North District Freight yard—said to be the last-remaining prime real estate in the Kansai area. The design unfolds within a framework set by two themes: One is a system of “water, greenery, and lively activity” vertically integrated as a new landmark for the water city of Osaka. The other is the convergence of knowledge and innovation—the creation of a stage for pioneering of future lifestyles, marketing their amenities, and developing new industries.
     Starting at the south, the complex consists of the Umekita Plaza—through which some 2.5 million commuters from Osaka Station pass daily—the multipurpose auditorium “Umekita SHIP,” and the South Tower comprising an office tower rising over commercial facilities on the lower floors. Across a tree-lined avenue is the North Tower, with the “Knowledge Capital,” shops, a convention center and theater on the lower floors, topped with an office tower and hotel. Then, at the northernmost end, surrounded by greenery, is Owner’s Tower, a high-rise residence.
     The heart and symbol of Grand Front Osaka is “Knowledge Plaza,” with its “proposal-style” showroom, salon, and knowledge-industry offices linked by escalators spiraling up the building. The main artery of the complex, the first-floor corridor that passes through the South and North Towers, through the Plaza, and all the way to the high-rise residence tower, is linked to the outside of the buildings with passageways that enhance the pleasures of rambling through the entire complex.
     After completion of phase II, West Road will become a “symbol road” with the podiums on the west side taking a uniform height of 45m and a lattice grid facade comprising a variety of concrete louvers, glass and architectural concrete walls that express functions housed within. Twin glass towers above will take their form from a natural ventilation design theme while the soft colored frames express rest and comfort for the hotel and residence.
     It is hoped the Grand Front Osaka complex will be a vibrant driving force in the resurgence of the surrounding Kansai area.

Katsuya Kawashima| Principal, Architectural Design Department, Nikken Sekkei

*出典は-「NIKKEN JOURNAL 16/2013 Autumn」より-こちら

(O-V-015)

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       グランフロント大阪
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