Amity with Environment 2006 From Town to Building March, 2006
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第一次、第二次オイルショックを契機に省エネルギーの推進が重要課題になりました。近年では、地球温暖化や都市におけるヒートアイランド現象問題が顕在化してきました。いずれにおいても、建築分野が次のように大きく影響しているとの認識があります。q資源の枯渇;わが国の化石エネルギー消費の約30%は建築分野からw地球温暖化;わが国のCO2発生量の36%は建築分野からe都市のヒートアイランド化;人工排熱量の約50%は建築分野から(東京23区)建築関係者は大きな責務を負っていることを認識することが必要です。日建設計ではこのような背景を基に、1970年代より「省エネルギー建築」や「環境親和型建築」の実現が重要と考え、幾つかの先駆的ビルでそれらの実現にチャレンジして参りました。基本的な考えや成果をFACT「建築と省エネルギー」(1992年)、「環境親話」(1992年)、「続環境親話」(1997年)にまとめ発刊しました。これらの諸活動を通じ、私達が今強く感じている「次世代の環境親和型建築」への手がかりを以下に紹介させていただきます。「環境親和型街区」・「環境親和型都市」の実現が大切「環境親和型建築」の実現は建築だけの努力では解決できないことを強く意識するに至りました。例えば、自然換気が可能な建築を実現するには窓が開けられることが必要ですが、そのためには大気汚染や騒音の少ない街づくり・都市づくりが不可避と考えます。言い換えれば、「環境親和型街区」・「環境親和型都市」があってはじめて「環境親和型建築」の実現が可能なのです。建築だけを対象に考えるのではなく、街区、都市へと空間領域を拡大して考える必要がここにあります。このような視座に立つとき、建築敷地内の外構計画の重要性がクロ-ズアップされます。建築の外構計画は建築と隣地を、また建築と街とをつなぐ重要な要素だからです。隣地と協調した外構計画は街中に緑の拠点を造ります。近隣の建築が協調して並木を作ることも可能です。このような展開は街や都市のなかに「点」から「線」、そして「面」へとつながる緑の拡大を可能とします。建築づくりは公共的な視座に立つことが重要と考えます。次世代の環境親和型建築の創造54環境親話2006まちから建築へ 日建設計―FACT-NIKKEN SEKKEI

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