IDEAS

LIFE 03

日本型ネットワークオフィスを提案する

人と仕事に合わせて、オフィスが寄り添っていく時代。
日本のサラリーマンに合ったネットワークオフィスを模索しています

"法人向け多拠点型シェアオフィス「WORKSTYLING」"

政府が推進する「働き方改革」により、働き方が多様化し、それに合わせてさまざまなタイプのオフィスが登場しています。2017年4月に開業したシェアオフィス「WORKSTYLING(ワークスタイリング)」の特長は、法人向け多拠点型であること。高いセキュリティの確保や勤怠管理をサポートしながら、コラボレーションやコミュニケーションといったシェアオフィスならではのメリットを大企業向けに提案するものです。そのニーズは高く、開業から1年で全国約30拠点まで増え、これからも次々と新しい拠点がオープンしていく予定です。

日建設計NAD室はWORKSTYLINGプロジェクト立ち上げ時から参画しています。コンセプトづくり、具体的にどういった設備やサービスを入れ込むかというガイドラインから、オープン後の利用率を分析し改修方針提案をするところまで、一連の流れをディレクションしています。

"重視するのは「生産性」と「能動性」"

内装や設備も大切ですが、WORKSTYLINGが特に重視するのは「生産性」と「能動性」です。これまでシェアオフィスを利用したことのない、大企業のサラリーマンがいかにして快適なワークスタイルを見出し、効率的かつクリエイティブに働けるかを第一に考え、次にそのための空間的仕かけやサービスを検討してきました。

欧米型シェアオフィスが必ずしも、日本の商習慣やサラリーマンに沿うとは限りません。前例や比較対象がないため、日建設計を含むプロジェクトメンバーはこれまで多数のワークショップやフィールド調査、専門家たちとの対話を重ねてきました。その中で日本のサラリーマンはアウトプット量と比較して圧倒的にインプットが少ないことや、仕事と仕事の間の休憩時間に行う行為のバリエーションがあまりに少ないことが見えてきました。会議室や家具についてはもちろんのこと、照明や音環境、リフレッシュ、移動、周辺環境にいたるまで、仮説や想定から導き出した数多くのアイデア。それらを実際の拠点に導入し、検証し、次に生かすというサイクルを回しながら、日本型シェアオフィスのあり方を開業以来継続して模索しているのです。

"働き方に合わせて働く『場』を選ぶ"

サイクルを回すなかでひとつ明らかになってきたのは、各拠点のキャラクター(個性)を明確にすることで、利用者が「自分の働き方や仕事の状況に合わせてオフィスを選べる」ということが価値になるということです。
例えば、2017年末にオープンしたフラッグシップ拠点「WORKSTYKING 八重洲」は、東京駅に直結するグラントウキョウサウスタワーにあります。抜群のアクセスで、全国を飛び回る営業職の方々や、各支社から集まったプロジェクトチームなどが利用しています。この拠点の個性は、1日の中のあらゆるモードに対して最適な場所を用意しているということ。大切なクライアントのおもてなしが可能なラグジュアリ会議室から、社内のチームでフィジカルにブレスト出来る場所まで、コントラストの効いた空間となっています。また、個人からグループまで対応可能な家具や個室のバリエーションを豊富にそろえたほか、可動式の家具やホワイトボードを使って利用者が能動的に「場」をつくり出すことができます。当初は、移動途中に便利なタッチダウン利用を想定していましたが、移動中でなくても、あえてここを選んで利用する利用者が増えてきました

また、2018年4月にオープンした「WORKSTYLING 東京ミッドタウン」(六本木)は、「東京のデザインの中心地である」という地域性を活かし、「デザイン思考」というイノベーション創出のプロセスをフロアに落とし込んでいます。デザイン思考における6つのフェーズで空間をゾーニングし、それぞれに合わせたインテリアやサービスを当てはめています。例えば、あるチームがひとつのプロジェクトを立ち上げてから完了させるまで、各フェーズに合わせて空間を使い分けることができるのです。また空間にアートやアンティークを散りばめ、アイデアや会話を生み出すムードづくりにも配慮しています。

このように、いつも決まった環境で同じような働き方をせざるを得ない大企業のサラリーマンに、その人の個性やその時の気分や仕事内容にあったオフィスを提供できることが、日本型シェアオフィスに求めらる機能の一つであると考えています。

10人いれば10通りの働き方がある。そうだとすれば、固定化したオフィスに人が合わせるのではなく、人と仕事に合わせてオフィスが変わり、寄り添っていくのが理想の姿ではないでしょうか。WORKSTYLINGは、施設を「つくって終わり」ではなく、利用者と一緒になって「新しい働き方」を考え、実現し、ブラッシュアップしていくための、まさに現在進行形プロジェクトなのです。