New Horizons in Structural Design April, 2008
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04FACT NIKKEN SEKKEI    構造デザインの最前線地震のメカニズムと安全へのソリューション構造設計においては、建物自身の重さなど日常的に建物に作用する力や、地震、台風など建物に一時的にふりかかる大きな力に対する安全性を考えなくてはなりません。中でも世界有数の地震国である日本では地震について知ることがとりわけ大切です。ここではその地震についてご説明し、私たちが耐震設計についてどう取り組んでいるか、ご紹介します。地震のメカニズム地震発生のメカニズムについて考えるためには、まず、地球の構造からお話しする必要があります。地球は均質なボールではなく、中心から、核、マントル、地殻と性質の異なる物質で構成されています。そのうちのマントルが高温でゆっくりと対流しているため、これに引きずられて表面にある地殻もゆっくり動いています。実際には、マントルの対流と関係して地球の表面が十数枚の板(プレート)となって相対的に移動しています。つまり、地球は卵のように一枚の殻で覆われているのではなく、複数のプレートがマントルの上に浮かんで、年に数センチずつ相互に動いているというわけです。そのため、これらのプレートが接する境界とその近傍では歪みが蓄積し、そのレベルが限界を超えた時、地殻がずれて地震が発生します。このようなメカニズムのため、各プレートが接している境界付近で地震発生の頻度が高く、世界の地震分布は下図のようになっています。太平洋の周囲は太平洋プレートと他のプレートが接しているため“地震の巣”となっていますが、特に、日本列島近傍は、大陸側のプレートに太平洋プレートとフィリピン海プレートと呼ばれる二枚のプレートが沈み込む複雑な構造となっており、地震環境としては大変厳しい状況にあります。このような地域で発生する地震は以下の二つに大別されます。一つは、接しているプレートの境界面がずれることによって発生する地震で、このタイプのものを「プレート境界地震」と呼びます。関東大震災や、最近よく話題になる南海地震や東南海地震などがこれに当たります。もう一つは、プレートの表面に蓄積された歪みが開放される時に発生する地震で、「内陸直下地震」と呼びます。阪神淡路大震災や最近の事例では、2007年7月に発生した新潟県中越沖地震が記憶に新しいところです。ユーラシアプレートEurasian plateフィリピン海プレートPhilippine Sea plate太平洋プレートPacific plateユーラシアプレートEurasian plateEarthquakes and Safety Measures

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