FUTURE LENS ANNUAL REPORT 2025-2026
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30人口規模×社会レイヤーで読み解く、​人口規模×社会レイヤーで読み解く、​地域課題解決の新しいフレーム地域課題解決の新しいフレーム—— さ ま ざ ま な イ ン パ ク ト を 生 み 出 し つ つ あ る F U T U R E LENSですが、この変わりゆく社会において、どんな価値を提供するプログラムにしていきたいですか?柄澤:その前提として、日建設計の社会環境デザインをどうとらえて活動しているかを話したいと思います。オレンジは軽井沢の医師不足に向き合っています。地域の中核病院である軽井沢病院とは「いのちの終わりを支えることを まちづくりに組み込む」というコンセプトを共有しつつも、まちへの関わり方については、それぞれ異なる視点を持っていました。そのギャップを埋めるべく、ほっちのロッヂの活動を構造化することに意義を感じ、提案をしたんです。しかし、メンバーは、当初その必要性がピンときていませんでした。「構造化は他地域への展開時に必要なもの」という認識があったため、「今、目の前のことすら手が回っていないのに」という感覚だったようです。転機となったのは、日建設計の共創社員の村瀬が「ほっちのロッヂ」と「軽井沢病院」、そして軽井沢というまちや人の「AS IS(現状)とTO BE(ありたい姿)」を図として描き起こしたことです。「まちに溶け込む医療」のイメージが可視化されたことで、自分たちが何を目指しているのかという認識が、関わる全員のあいだで揃っていきました。そこから双方が歩み寄り、プロジェクトはより良い方向へと進んでいます。さらに対話を重ねるなかで、もうひとつの気づきが生まれました。この活動を他の地域への学びとして構造化していくにあたって、仕組みだけでなく、実行者としての自分たちのアビリティやキャラクターの可視化も重要な意味を持つ、ということです。事業の価値だけでなく、「自分たちそのものの価値」は、自分たち自身で定義しにくいからこそ、外部の目が役に立った瞬間でした。日建設計が普段から行っている「構造化」は、単に活動を分かりやすくするためだけのものではありません。可視化した図を見せることで、対話を大切にするローカルプレイヤーにリフレーミングが起きる。さらにその可視化されたものをベースに議論を深めることで、新たな気づきから役割そのもののリフレームが生まれる。そんなことを再確認させてもらえた事例でした。吉備:他にも、日建設計から採択企業のことを発信することで、普段アクセスしない人たちにも活動が伝わることがプラスになっていたらいいなと思っています。PYNTには 毎月 1000人以上の 方が お越しに なるのですが、 海外からの 視察も 多く、 FUTURE LENSについても 関心を 持ってくださる 方が 多いなと 感じます。 私たちは、社会を5つのレイヤーで捉えています。下から「制度や政策」「産業や市場、金融」「空間や建物、インフラ」「モノやサービス」「人とコミュニティ」と、層が積み重なっていて、上にいくほどソフトの領域になる。この5レイヤーを横断し、関係性をデザインする考え方です。 また、地域の課題とは、大きくまとめると「公助としてのインフラ、都市サービスが維持できなくなること」だと考えています。総務省の調査によると、人口3万人を下回ると1人当たりの歳出額が歳入額を超え、公助によりまちを維持する限界がくる。(▶P26参照) それにもかかわらず、3万人未満の地域はたくさんありますし、これから増えていきます。人口減少や高齢化が進むにつれて、行政が担っていた「公助」や「インフラ」を官民で「新しい共有財」や「サービス」として50年先の価値をつくる。​50年先の価値をつくる。​FUTURE​LENSが求める共創パートナーFUTURE​LENSが求める共創パートナー——さまざまな立場の方を巻き込みながら大きな活動になりそうですね。最後に、これからどんな方々と共創していきたいか教えてください。柄澤:FUTURE LENSで一緒に取り組みたいのは、地域を支えていくことに本気になってくれる方です。ローカルで見つけた解決策を全国や世界に展開するのも大切ですが、それが第一目的ではありません。やっぱりローカルの課題をどうするかということを、仮説と解決策をセットで提示することだと思っています。地域への想いを持った方々とご一緒できればと思います。吉備:私も同じです。加えて、親ゼブラ(ゼブラ経営を実践する大企業)のみなさんにも呼びかけたい。一緒に資金やリソースを出しながら、取り組みを進めてくれる企業が出てきてくれたら嬉しいです。持続可能なものに変換していく必要があるんです。—— 5 レ イ ヤ ー と そ の 事 実 を 照 ら し 合 わ せ て い く こ と で 、FUTURE LENSの価値を見出そうとされていると。柄澤:はい、それによって「地域の規模によってどこから介入するといいか」が見えてくるのではないかと考えています。FUTURE LENSの舞台になっている長野県軽井沢町、鹿児島県日置市、東京都国立市の人口は、それぞれ約2.1万人、4.5万人、7.7万人。規模の異なる3つのまちで生まれた取り組みを5レイヤーに重ねてみると、軽井沢でオレンジが運営する「ほっちのロッヂ」は制度や政策のレイヤー、日置市で小平が開発中の「猫狐馬杜」は産業や市場・金融のレイヤー、国立市で水中が準備中の「水中」は空間とモノ・サービスのレイヤーにそれぞれ位置づけられます。こうした整理をもとに、残りの1年の実証を進めていくことで「この人口規模の地域に対しては、このポイントが効く」といった、私たちなりの解を示したいと考えています。大企業が地域やゼブラ企業をサポートする際のガイドとなるものができれば、FUTURE LENSが社会に提供する価値はより大きくなると思います。そのためにも、先ほど柄澤が提示した「人口規模と介入ポイントの関係性」という仮説を、この実証を通じて確かなモデルへと昇華させたいと考えています。大企業だからこそのリソースやブランド力で、社会課題解決の新しいモデルをつくりたいと思っている方々に、新たな可能性を提示していきたいです。阿座上:ゼブラ企業の皆さんは、柄澤さんの提示したフレームワークに照らし合わせて、「自分たちは今どこの活動をしているのだろう」と考えてみてほしいです。まだあまり解明されていない領域の取り組みであっても、一緒にリフレーミングして価値を可視化できます。気軽に声をかけてもらえたらと思います。また、FUTURE LENSは、企業、行政、アカデミアのさまざまなつながりができることや、ゼブラ企業が実証フィールドを提供してくれることも魅力です。「自分たちの技術を活かしたいけれど、使う場所がない」と悩む方も相談してもらえたらと思います。FUTURE LENSで一緒につくっていく事業や仮説やフレームワークは、30年、40年、50年先へとつながる価値のあるものになるはずです。合理性や経済性を追求するだけでは届かない「未来の豊かさ」をつくる取り組みを、ぜひご一緒できれば嬉しいです。

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