緑の環境価値を評価・可視化するみどりのものさし
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「グラングリーン大阪」のみどりとCO2固定2050年までに達成を目標としているカーボンニュートラルへの貢献地球規模の課題である気候変動問題の解決に向けて、産業革命以降の温度上昇を1.5度に抑えるためには2050年までにカーボンニュートラルを実現する必要があるといわれており、120以上の国と地域で目標として掲げられている。みどりはストレスを軽減し、幸福度を増やす自宅の庭のように、日常的に緑地に接する機会がある場合、ストレス軽減、幸福感上昇、モチベーションの増大などの効果が期待できると報告されている。みどりは創造性を上昇させるみどりは短期記憶力を向上させる自然を感じられるインドアバイオフィリックデザインにより短期記憶が14%向上することが確認される。さらに、血圧や皮膚電動反応の低下にも効果があると示唆されているほか、心理的にもリラックス効果やネガティブな気持ちの緩和にもつながるという研究成果がある。イノベーションを活性化させることが期待される「緑視率」の可視化みどりに関する文献バーチャルリアリティを通じたバイオフィリックデザインにより創造性(知的生産性)が向上し、反応速度が5%短縮されるという研究結果がある。グラングリーン大阪には1,600本以上の高木が植栽されている。自家用乗用車のCO2排出量を132g-CO2/人kmとすると、年間で一台の車が地球約6.7周分する時に排出するCO2の固定量に相当する。これは出力370Wの太陽光モジュールが発電する時に削減できるCO2に換算すると約190枚分に相当する。緑視率の可視化シミュレーションによると、南公園・北公園を中心に樹木が見える割合(見上げ・形態係数)が 90% を上回る部分が多い。その結果、下記の文献調査からも示唆されるように、グラングリーン大阪の高木が CO2固定のみならず、人々の幸福度、創造性、記憶力の上昇にも貢献することが期待される。©01)文献1. https://ondankataisaku.env.go.jp/carbon_neutral/about/, (参照2024-03-文献2. Chalmin-Pui, Laurianne Suyin; Roe, Jenny; Griffiths, Alistair. et al. “It made me feel brighter in myself”- The health and well-being impacts of a residential front garden horticultural intervention. Landscape and Urban Planning. 2021, Vol.205文献3. Jie, Yin; Nastaran, Arfaei; Piers, MacNaughton. et al. Effects of Biophilic Interventions in Office on Stress Reaction and Cognitive Function: A Randomized Crossover Study in Virtual Reality. Indoor Air. 2019文献4. Jie, Yin; Shihao, Zhu; Piers, MacNaughton. et al. Physiological and cognitive performance of exposure to biophilic indoor environment. Building and Environment. 2018, Vol.13214グラングリーン大阪の1,600本以上の高木は世界の環境課題であるカーボンニュートラルに貢献するだけではなく、高い緑視率の効果により創造性や記憶力の活性化にも寄与することが示唆される。高木は、光合成によりCO2を固定し、燃やさない限り、木材になっても炭素を固定し続ける「炭素の貯蔵庫」といわれている。その能力を通して、2050年までの達成を目標とするカーボンニュートラルに貢献することが期待される。また、都市で日常的にみどりとの接触を増やすことは、来訪者やそこで働く人々の幸福度、創造性、記憶力を向上させ、ストレスやネガティブな感情を減少させることが示唆される。

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