緑の環境価値を評価・可視化するみどりのものさし
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© ℃15℃ 5うめきた公園の代表地点における表面温度・体感温度約11.8ヘクタールというグラングリーン大阪の中心となるうめきた公園は約4.5ヘクタールで、その緑地規模が都市内で貴重なクールスポットを生み出し、緑陰では表面温度が日中で最大約15度、体感温度では約5度、緑がない場合と比べて温度が低くなることが予想される。緑地内は周辺の市街地に比べて気温が低いため、夜間冷たい空気を周辺地へ滲み出させる効果が期待される。また、緑陰で遊べる空間は子供たちの野外活動の機会を増やし、熱ストレスへの適応能力の活性化にも好影響があると考えられる。夜間の緑地周りの冷気気流のイメージ温熱環境の調整に関する文献約 差   約 差   高木と水面がないシナリオみどりと水が豊かな現計画高木と水面がないシナリオみどりと水が豊かな現計画「グラングリーン大阪」における温熱環境の調整高木による緑陰は表面温度と体感温度を下げ、ヒートアイランド現象の抑制にも寄与する。さらに、夜間には周辺へ涼しい空気がにじみ出す。グラングリーン大阪は都市の貴重なクールスポットとなり、人々が安心して遊び憩える屋外環境を提供することが示唆される。樹冠の緑陰により体感温度が下がる樹冠が日射を遮ることにより、人への直達日射量が低減され、さらに陰になる路面・壁面温度の上昇が抑制され下からの赤外放射も低減すると報告されている。日射下でも緑葉の表面温度は気温程度しか上がらない日射下での緑葉の表面温度は気温程度までしか上がらず、樹冠下での放射環境が大きく改善する。これは、緑葉での蒸散による潜熱放散の効果と葉の大きさ(数cm~10cm)が小さいために大気との熱交換が活発なことによると指摘されている。樹木の蒸散による冷却能力はルームエアコンに匹敵するよく潅水された都市緑化樹木(例えばケヤキ)の蒸散による冷却能力(潜熱放散)は日中最大2 kW/本に達する。これは家庭用のルームエアコンの能力に匹敵するという研究結果がある。夜間は大規模緑地から周辺市街地に冷気がにじみ出す夜間の風の静穏時に大規模緑地から冷気が周囲に流出して気温が低下することが「冷気のにじみ出し現象」として知られている。東京の新宿御苑の場合、周縁部から100m程度の範囲で観測されると報告されている。文献1. 環境省, まちなかの暑さ対策ガイドライン令和4年度部分改訂版文献2. 日本建築学会, 都市の環境設備計画, 2020文献3. 清野 友規、浅輪 貴史、梅干野 晁、清水 克哉. 都市緑化樹木を対象とした大 文献4. 成田 健一、菅原 広史. 都市内緑地の冷気のにじみ出し現象. 地学雑誌. 2011,     照2024-03-01)型重量計による単木蒸散量の計測と樹木の形態的・生理的特徴に基づく 分析. 日本建築学会環境系論文集. 2015, 80 巻, 713 号, p. 599-608, https://doi.org/10.3130/aije.80.599 (参照2024-03-01)120 巻, 2号, p. 411-425, https://doi.org/10.5026/jgeography.120.411(参18人が感じる暑さは、気温だけでなく、湿度、風の強さ、日射や高温化した路面などから放出される熱(赤外放射 )に大きく影響される。樹冠が作る緑陰は、日射や赤外放射を大きく低減させ、夏の暑さによる身体のストレスを緩和させて、健康で快適なまちづくりに寄与する。さらに、都市部のまとまった緑地はヒートアイランド現象を緩和することが期待され、夜間には周辺へ冷気がにじみ出す。

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