バイオフィリックデザインの効果20SNS(TwitterとInstagram)上に投稿されるテキストデータや画像データについて、熊本駅ビル関連で投稿されたデータを収集し、その特性を分析することで、熊本駅ビルが有する感覚価値を評価しました。SNSの投稿データはテキスト(文章)を付帯するため、そこに含まれる単語から来訪者が熊本駅ビルの滞在・体験で得た「感覚・感性」を抽出することを試みました。分析により、駅ビル開業により感覚価値が向上したこと、とくに「新しさ」「美しさ」「心地よさ」に訴求している傾向があることなどの傾向がみられました。さらに、熊本駅ビルの空間デザインの特徴である「立体庭園」に関連する環境要素が様々な感覚価値を喚起していることが示唆されました。熊本駅ビルにおいて投稿されたSNS(Instagram)のデータを収集し、投稿されたテキストデータに対し形態素解析を行い、テキストに含まれる単語の頻度を評価しました。その結果、左図に示すように「滝」「水」「緑」「自然」等の言葉が大きく表示される傾向が示されました。熊本駅ビルを特徴づける要素として、これらの環境要素について多く触れられていることは、熊本駅ビルの環境要素が「つい語りたくなる」魅力や訴求力をもっていることを示しています。抽出したテキストデータに含まれる単語に、「感覚価値」を示すスコアを付与し評価しました。具体的には、左記に記載する4つの観点から、「感覚価値」に関連する「ベース語」を抽出・整理し、それらのベース語を基準とし、基準となるベース語との意味の近さから単語にスコアを付与しました(※)。SNSのテキストデータに対して、テキストに含まれる単語をもとに、左記に示す18個のベース語を「感覚指標」とする18個のスコアの付与を行いました。観点快適さ美観落ち着いた/親しみやすい雰囲気バイオフィリック涼しい/静かな/騒がしいベース語との意味の近さから単語にスコアを付与ベース語心地よい/にぎやかなきれい/かっこいい独特な/広々とした明るい/暗い/暑い楽しい/わくわく※ 日建設計総合研究所が山村崇准教授(東京都立大学)と共同で研究・開発したスコアリング手法を活用。単語間の関係をベクトルで表現した既存の辞書データを用い、基準語と他の単語の関係を数値化(意味が最も近いもの1、最も関係のないものを0とする)。3駅ビル開業により多様な感覚価値を創出「新しさ」「美しさ」「快適さ」に訴求する空間つい語りたくなる独特な環境要素をもつ空間SNSに含まれる感情を定量化する「JR熊本駅ビル」にみるバイオフィリックデザインの効果来訪者の多様な感性に訴求する様々な感覚価値に訴求する多様な環境要素が織り込まれた空間
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