NIKKEN BIOPHILIC DESIGN BOOK vol.1 JR 熊本駅ビル
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867437157717007386946666236516185895465745035694315974264824544114493063773[ 度強対相ーギルネエ]%25100%90%80%70%60%50%40%30%20%10%0%JR熊本駅ビルは周囲の視界がひらけた立地にあり、自然光を取入れやすい環境にあります。また建築的にも最上階の天窓や壁面ガラスには水が流れ、吹き抜け空間は開放感のあるガラス壁面となっていることで、多くの自然光を取り入れることができます。上層階から取り入れた光はそのまま1階まで降り注ぎ、熊本の自然光が持つ波長特性に近い光環境がJR熊本ビルの中でも形成されています。立体庭園における光環境に関する魅力度評価でも、各階ともに高い魅力があると評価されており、特に立体庭園1階での魅力度評価が高くなっています。JR熊本駅ビルは、下で紹介する文献2の「外の景色や太陽の存在が顧客満足度を向上させる」というエビデンスの一端を実証的に示しています。人工照明の代わりに、天窓や窓から昼光を室内に取り入れる効果として、そこに過ごす人の生体リズムが改善されたり、交感神経が活性化し覚醒状態が維持される効果が期待されています。こうした昼光利用の中でも商業施設においては、天窓がある小売店では小売売上が増加する効果、また訪れるお客さんの顧客満足度を向上させる効果が期待されています。文献1.Lisa Heschong,Dr. Roger L. Wright &Stacia Okura, “Daylighting Impacts on Retail Sales Performance”, Journal of the Illuminating Engineering Society, pp21-25, 2013.最上階のガラス壁泉を通して内部空間に自然光が降り注ぐ文献1文献2文献3文献4太陽光(AM1.5)熊本駅ビル1F(昼|自然光)波長 [■■■熊本駅ビル1F(夜|人工照明)熊本駅ビル5F(昼|自然光)文献2.M. S. Mayhoub, Emad H. Rabboh, “Daylighting in shopping malls: Customer’s perception, preference, and satisfaction”, Energy and Buildings, 2022.文献3.関、伊香賀、市原、張本、Sanhez、西原:オフィスの昼光利用が知的生産性に及ぼす影響に関する被験者実験、空気調和・衛生工学会、2017.文献4.河瀬、吉岡、執務空間快適性に関する概念拡張の動向と昼光利用サーカディアン照明システムについて、システム/制御/情報,2006.「JR熊本駅ビル」の光光に期待される効果やわらかい光により、魅力度評価が高い木漏れ日のような光に包まれた快適な立体庭園天井窓から1階まで落ちてくる自然光により、庭園周辺は太陽光に近い波長特性を持っている天窓のある小売店は売上高が増加天窓のある店舗では小売売り上げ高が増加します。建物の日光の利用可能性と販売実績に影響を与える人的要因との間に重要な関係があることが示唆されています。昼光利用により顧客満足度が増加ショッピングモールの内部環境で最も重要な要素として「照明」があります。顧客からは外の景色とのつながりや太陽光の存在が好まれ、顧客満足度を向上させています。昼光利用により交感神経が活性化昼光利用により、居住者の交感神経の活性化が確認され、覚醒状態がもたらされます。昼光利用照明が人間の生体リズムの改善昼光利用サーカディアン照明を用いるとメラトニン分泌量がいずれの被験者でも約二倍増加し、昼光利用サーカディアン照明が人間の生体リズムの改善に著しく寄与しています。昼光により満足度の高い商業空間が期待される

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