NIKKEN GREEN INITIATIVE 日本語
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3 INDEX63コンセプトの一つである「みどりの継承」には、木を育て、森をつくるという新たな歴史を作ることも含まれています。森づくり活動の意義は二つ。 一つは、地域性苗木を使い、地域の植生に倣った植栽計画とすることで、地域景観を保全するとともに遺伝的攪乱のない環境づくりを行うことです。もう一つは、種子採取から播種・育苗、そして植樹(さらには今後の管理も)という森づくりのプロセスに病院職員や地域の方々に参加いただくことで、各々の記憶や思いも植えつけられ、職員に愛され、地域に受け入れられる病院となることを目指しました。植樹はイベント形式ですでに2度開催され、計2,000本ほどの苗木が植えられました。今後も継続し、最終的には用意した6,000本の植樹を目指しています。森づくりのイベントの様子佐久医療センターは、母体である佐久総合病院の再構築計画により、高度専門医療、救急医療に特化された病院で、発注者からのできるだけ緑を残してほしいというリクエストは、我々設計者の考えとも合致しました。現地調査を行い、支障木500本中250本は物理的に移植可能とし、最終的にサクラ、ヒマラヤスギを中心に約100本を移植対象に絞り込みました。やむを得ず伐採した樹木も様々な形で有効活用を図りました。ニセアカシアやシラカンバは薪に、アカマツは歩道用のチップに、油脂分の多いヒマラヤスギは丸太ベンチや光庭の木ブロックとして活かすこととしました。このような取り組みを通して、地球温暖化の原因といわれている二酸化炭素が、敷地内の樹木により年間76tが固定されているほか、伐採材をブロックなどに利用することで24tの炭素が固定されています。また、年間6.8kgの二酸化硫黄(SO2)、6.1kgの二酸化窒素(NO2)、39kgのオゾン(O3)が樹木に吸収されるなど、空気の浄化にも寄与しています。職員・地域と森づくりを通して「みどりの継承」を実践6.8 kg-SO2 /年6.1 kg-NO2 /年39 kg-O3 /年敷地の樹木による空気浄化伐採木利用と森づくりによる炭素固定佐久総合病院

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