NIKKEN GREEN INITIATIVE 日本語
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APPENDIX79体感温度は、環境側の要素として気温・放射(日射/赤外放射)・風・湿度の影響をうける。樹木や遮熱舗装・保水性舗装等により、気温・放射を操作することで体感温度が変わる。評価方法温熱環境の総合的な指標として、熱中症予防に適した暑さ指数(WBGT)や快適性の評価に適したSETなどが提案されている。ケーススタディでは、屋外の体感を温度に対して特に影響を与える日射に着目して、樹木の緑陰による表面温度の低下の効果を確認した。評価指標ケーススタディではサーモカメラで実測した表面温度を簡易的な評価指標とした。環境省,2023,まちなかの暑さ対策ガイドラインでは、樹木等の緑陰により体感温度(SET)が7℃程度低くなることが確認されている。(樹冠の形状により低減の程度は異なる)用語暑さ指数(WBGT):労働や運動時の熱中症予防に利用される温熱環境の評価指標。標準有効温度(SET):「体感温度」に近い指標で、快適性の評価によく利用される。主に室内環境で利用されることを想定して開発された。樹木のCO2固定能にあわせて大気汚染物質を吸収する能力に着目し、ケーススタディのプロジェクトの樹種構成に従い大気汚染物質吸収量を算定した。また、レインガーデン(RG)の主にろ過機能に着目し雨天時の面源負荷量の削減効果を試算した。評価方法樹木による大気の浄化:樹木別の胸高直径と年間のCO2固定量の関係式[1]から、現地の大気汚染物質濃度とCO2固定量に基づく汚染物質吸収量の換算式[2]より樹木による大気汚染物質吸収量を推定した。RGによる水の浄化:面源負荷原単位によりエリア全体の面源負荷量を算出[3]年降雨量に対してRGでろ過できる割合(浸透率)を考慮したRGの汚濁負削減量を算出[4]エリア全体の面源負荷量に対するRGでの負荷削減率を算定評価指標・樹木による大気の浄化:大気汚染物質の吸収量(SO2, NO2 ,O3)・RGによる水の浄化:RGの汚濁負荷除去率(COD, T-N, T-P) 、RGの汚濁負荷削減量(COD, T-N, T-P)用語SO2;二酸化硫黄 NO2;二酸化窒素 O3;オゾン(光化学スモッグに関連)これらは大気汚染の主要物質であり、法律で基準値が定められている。胸高直径:1.2mの高さにおける樹木の直径面源負荷量:市街地等の面的に広がった汚濁源から発生する汚濁物量のこと。降雨とともに流出する。COD(化学的酸素要求量):水中の有機物濃度を示す指標の一つである。 T-N:水中の種々の形態の窒素化合物全体の濃度を示すT-P:水中のリン化合物全体の濃度を示す。水が淀むところでは窒素、リンが汚染の原因となる。参考文献1.松江 正彦, 長濱 庸介, 飯塚 康雄, 村田 みゆき, 藤原 宣夫, 日本における都市樹木のCO2 固定量算定式, 日本緑化工学会誌, 2009, 35 巻, 2 号, p. 318-324, https://doi.org/10.7211/jjsrt.35.3182.独立行政法人環境再生保全機構, 大気浄化植樹マニュアル(2014)3.湖沼水環境調査検討会 資料編、環境省のP資料-35の茨城県公害技術センターの調査結果を援用4.RG浄化率; Linying, Z.; Zehao, Y.; Shozo, S. Assessment of Rain Garden Effects for the Management of Urban Storm Runoff in Japan, Sustainability. 2020, 12, 99825.降雨データ:気象庁(2019-2021の時間降雨量)温熱環境の改善大気・水の浄化

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