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障がい者の療育を支える“街並み”の創出Creating a Townscape to Nurture Rehabilitation of the Disabled北九州市立総合療育センター Kitakyushu Children’s Rehabilitation Center北九州市立総合療育センターは、障がい児・者の医療、療育、通所、通園、入所などの機能をもつ施設です。 設計にあたり、起床前から消灯後までの現況調査を行い、合計20回におよぶワークショップをスタッフの方々と実施。さらにBIM(3次元CAD)による空間の共有や工事段階の原寸モックアップ検証を行い、クライアントとともに空間を考える「参加型設計」を実践しました。 1階の外来ゾーンには、長時間の診察・検査を家族で穏やかに過ごすことができるように中庭を挿入し、その中庭に面して小さいお子さんのための「小上がりスペース」(内部)と「待合テラス」(外部)を相互に配置した待合空間をつくりました。 3階の病棟では病室の一部をガラスにし、スタッフから見守られている安心感を大切に考えました。廊下には時間に応じて色温度の変わる間接照明を採用して、時の移ろいを感じさせるようにしました。 4階の住棟では木製の垂壁で柔らかく仕切られたリビング・ダイニングを点在させた「ユニットケア」プランを採用し、大小18カ所の中庭・テラスを設けることにより、自然と身近な街並みのような「生活空間」になるように心を砕きました。 また、周辺の住宅街に溶け込むように外壁を分割・セットバックさせ、住宅的なスケール感を生み出すことによって、外部・内部空間ともに、障がいをもつ人たちの日々の生活の背景となる街並みを創り出しています。The Kitakyushu Children’s Rehabilitation Center is a facility that provides medical care and rehabilitation, outpatient care, daycare, residential care, and other services. Before embarking on the design we conducted a survey of Center activities throughout the day and held a series of twenty workshops. We employed a par-ticipatory method where each space was designed with input from the client using BIM and full-scale mockups. The first-floor outpatient zone has gently lit courtyards and comfortable spaces for family members who spend long hours there. Across from the courtyards are wait-ing areas composed of slightly raised areas (interior) for young children and waiting 23Photography|1, 4:エスエス/SS|2–3:淺川 敏/Satoshi Asakawa182019 SPRING38WORKS

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