nj201903
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The Nikken Forum is an open forum hosted by Nikken Group, at which invited specialists discuss a wide range of topics. [ダイジェスト│Digest]NIKKEN FORUM [講師]アンドレ・フー建築家AFSO代表Speaker: Andre Fu Architect; Founder, AFSO [ファシリテーター]大谷弘明日建設計 設計部門 設計代表Facilitator: Hiroaki OtaniPrincipal, Architectural Design Department, Nikken Sekkei香港の「The Upper House」をはじめ、世界のホテルブランドのデザインを手掛ける建築家アンドレ・フー氏をお迎えしました。氏は、アジアとヨーロッパを融合させた静謐で洗練されたデザインで知られています。カーペットや照明、プロダクトデザインまで、規模や領域を問わず活躍の場を広げる氏にそのデザイン哲学を語っていただきました。Our speaker was architect Andre Fu, who special-izes in branding designs for world hotels like Hong Kong’s The Upper House. He is known for tranquil and refined designs that merge the best of Asia and European taste. Engaging with design at any scale and in any field, he has expanded his work even to carpets, lighting fixtures, and product design. We asked him to talk about his philosophy of design. 14年前に独立して以来、私は「くつろげるラグジュアリー」を追求してきました。20年前の5つ星ホテルといえば、形式や壮大さや多くの装飾を意味していました。しかし、料理やファッションを見ても、今やラグジュアリーは新しい次元の解釈がされており、表面的なことよりも、快適さや体験が重視されています。私は、ホテルデザインもこの進化に対応しなければならないと思っています。 私のデザインの根源には、4つの基本的なDNAがあります。─文化の反映よく知らない地域でホテルをデザインする時は、旅行者の目で見ます。その場を訪れ、感じたことを吸収します。クライアントと話し、何を達成したいのかを聞き、敷地を見学します。そうして、ただそれらから感じたことに反応します。それら一連の有機的なプロセスは、本を読んだり、歴史を調べたりということではなく、その地域との文化的な出会いに対する、私の個人的な表現なのです。地域の特性をそのまま再現するのではなく、ゲストがその土地の旅を体験できるように、発見の要素を散りばめます。─選りすぐりの瞬間私にとって、デザインとはゲストの思い出をつくるということです。ある環境に没入し、何かを感じ取り、何らかの思い出をもち帰るということです。ホテルでの体験のすべてが旅のようなもので、ホテル空間を歩いて、幾層もある瞬間を発見していただきます。─匠の技を使った表現私はいつも、ホテルの精神を反映した、芸術的な感覚をもった環境を創造しようとしています。アートが内包的な一側面としてではなく、アートと空間とが融合したホテル全体がもつ強い物語体験が、ゲストに思い出を与えるのです。─くつろげるラグジュアリー「くつろげるラグジュアリー」は、私が非常によく使う言葉です。ラグジュアリーとは、実は気持ちです。ある場所に行き、くつろげていい気持ちになれることがラグジュアリーなのです。私のデザインには、特定の見た目やスタイルはありません。あるライフスタイルを押しつけるのではなく、その空間に入ったら、一人の人間としてどんなことを感じ、どんな反応をするかを想像してデザインしています。環境と感情的に一体感が得られる感覚は、自分の中からしか生まれません。それは、「インスタ映え」するものを創るということではないのです。[テキスト:宮本啓志]─第2回 2018年9月27日2nd Meeting, September 27, 2018─ホテル建築とデザインHotel Architecture and Design202019 SPRING38FORUM
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