NJ39_WEB
20/24

The Nikken Forum is an open forum hosted by Nikken Group, at which invited specialists discuss a wide range of topics. [ダイジェスト│Digest] NIKKEN FORUM [講師]奥山祐矢環境省地球環境局地球温暖化対策課長Speaker: Masaya OkuyamaDirector, Climate Change Policy Division, Global Environment Bureau, Ministry of Environment [講師]秋元孝之芝浦工業大学建築学部建築学科 教授Speaker: Takashi AkimotoProfessor, Department of Architecture, School of Architecture, Shibaura Institute of Technology日本社会の脱炭素化を達成するため、新時代の木造集合住宅の実現に向けた積極的な取り組みが始まっています。今回は、産官学それぞれのエキスパートにご登壇いただき、各視点から木造集合住宅の可能性を語っていただきました。また、省エネ住宅推進大使の壇蜜氏を交え、これからつくるべき集合住宅のあり方を議論しました。   ※本講演は環境省後援を受けています。As a part of the “decarbonization” of Japanese society, active research and development is going on toward making wood-frame multiunit housing a reality. We invited experts from industry, government, and academia to discuss the possibilities from their per-spectives. *is Forum was sponsored by the Ministry of Environment.地球温暖化を食い止める脱炭素化目標地球の平均気温は産業革命前に比べ約1℃上昇しており、災害級の異常気象を各地で引き起こしています。温暖化対策をとらず平均気温がこのまま加速度的に上昇を続けた場合、想像を超えた世界が我々を待っているでしょう。温暖化は、CO2排出の累積量で決まります。人為によるCO2の排出量を抑えていくことで、気温の上昇を抑えることができます。 こうした問題意識を背景に、今世紀後半に温室効果ガスの人為的な排出と吸収をバランスさせるという「脱炭素化」の目標を策定したパリ協定が2015年に採択されました。日本ではこれを踏まえ、地球温暖化対策計画の中で、2030年には26%、2050年には80%の温室効果ガス削減を目標にしています。─集合住宅に求められる低炭素化産業界の取り組みが進む中、家庭からのエネルギー排出は今もって上昇傾向にあり、住宅での消費量の大幅な低減が重要になってきています。省エネ、再エネによる電力の低炭素化と、電化あるいは低炭素型燃料への利用転換が対策の柱です。 快適な室内環境を保ちながら、住宅の高断熱化と高効率設備により省エネルギーに努め、太陽光発電などによりエネルギーを創ることで、1年間で消費する住宅のエネルギー量を概ね±ゼロ以下とすることを目指した住宅がZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)です。各省庁は連携してこの推進策に取り組んでいます。 都市部では、個別住宅に比べて土地を高度利用する集合住宅が増加してきています。たくさんの人が住む集合住宅を、良質な社会ストックとすることが大変重要です。 住宅建設において、安全面に加え断熱性やパッシブ設計、省エネ機器の選択が当たり前になれば、低炭素化だけでなく、災害時の強靭性、日々の快適性や健康性も向上できるでしょう。─木材のWELLNESS低炭素な集合住宅の建設で注目されるのがCLT(Cross Laminated Timber:直交集成板)です。CLTは、木材の板を互いに直交するように積層接着したパネルおよび構法のことで、1990年代に欧州で開発され、さまざまな建築物へ利用が急速に広まっています。 木材はそれ自体でCO2を固定化し、鉄骨などに比べ加工にあたり新たなCO2の排出もしません。 CLTは他の建材に比べ軽いため、運送エネルギーが少なく済み、施工期間も短縮できます。地震や火災時などの安全性においても他の建材と遜色ないことが実験により証明されています。 建築の環境性能を、過ごす人の快適性など心の動きで評価するWELL Buildingの考え方が盛んになっていますが、内装の5割を木で覆うと住まいの快適性や睡眠の質が上がるという研究結果もあります。 木材は新しい時代を迎えているのです。─ 第3回 2018年11月15日3rd Meeting, November 15, 2018─木造集合住宅が創る環境都市の未来The Future of Environmental Cities Built with Wood-Frame Multiunit Housing [ファシリテーター]渋谷 篤日建ハウジングシステム設計監理統括部長Facilitator: Atsushi ShibuyaHead of Architectural Design Department, Nikken Housing System [講師]中島浩一郎一般社団法人日本CLT協会 会長 Speaker: Koichiro NakashimaPresident, Japan Cross Laminated Timber Association202019 SUMMER39FORUM

元のページ  ../index.html#20

このブックを見る