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[ダイジェスト│Digest]NIKKEN FORUMThe Nikken Forum is an open forum hosted by Nikken Group, at which invited specialists discuss a wide range of topics. [講師]森川高行名古屋大学 未来社会創造機構モビリティ社会研究所 教授Speaker: Takayuki MorikawaProfessor, Mobility Innovation Center, Nagoya University [ファシリテーター]安藤 章日建設計総合研究所 上席研究員Facilitator: Akira AndoPrincipal Consultant, Nikken Sekkei Research Institute駐車場や車寄せ、物流動線、都市内街路などのモビリティ空間は、建築・都市のあり方に大きな影響を与えてきました。現在、日欧米中は自動運転車の熾烈な開発競争を進めており、日本も2020年代の自動運転社会の到来を目指しています。自動運転社会における、我々の建築と都市は、どのように変わるべきなのでしょうか。自動運転と都市に詳しい専門家の森川高行氏をお招きし、その姿を考えます。Spaces for mobility such as parking lots and carriage porches, logistics traffic, and urban streets have great-ly influenced the shapes of architecture and cities. Today, Japan, Europe, North America, and China are in intense competition to develop self-driving cars and Japan is aiming to introduce the autonomous car soci-ety in the 2020s. How should architecture and cities change in the age of autonomous cars? We asked Mr. Takayuki Morikawa, who specializes in self-driving cars and the city, to discuss these issues.─ 第5回2019年5月22日5th Meeting, May 22, 2019─自動運転がもたらす街と社会のイノベーションInnovation for Cities and Societies in the Driverless Vehicle Era第4次交通革命Mobility4.0今、世界では第4次産業革命(Industry 4.0)が起こるのと同時に、「第4次交通革命(Mobility 4.0)」が起きていると思います。 原動機を初めて交通手段に取り入れた第1次交通革命、電気を使った大量生産でガソリン自動車が大衆化した第2次、ITS(Intelligent Transport Systems:高度道路交通システム)が始まった第3次を経て、車とインフラの知能化が第4次交通革命にあたります。─来るCASEの時代CASE(Connected/Autonomous/Servicized/Electric)という言葉があります。 「Connected」は、車のさまざまなセンサーをICTによってつなぐことです。Connectedされることによって、データがクラウドに集積しビッグデータが生成されます。そこから知識を得ることで、車の運転の多くの部分が知能化・自動化する、いわゆる「Autonomous」が可能になります。これによって人は運転から解放されます。そして、車のシェアリングを示す「Servicized」と、電動化の「Eelectric」。 CASEが意味するのは、自動運転化された電気自動車を移動サービスとして利用する、ということです。システムがすべてを操作する完全自動運転の車をシェアリングするようになると、必要なときにシェアカーを呼び出し、自動で目的地まで行って乗り捨てる、という究極のモビリティが可能になると言われています。 ただし、完全自動運転車のサービスインの時期というのは、いまだ予測できません。まずは地域限定の移動サービスの開始が早いかと思われます。地域限定あるいは経路限定で自動運転のモビリティサービスをつくり上げるのがいいのではないでしょうか。自動運転と、既存の交通を混合させたモビリティブレンドを、過疎地やオールドニュータウンなど、地方都市で実現していく。そのような方向性があるかと思っています。─CASEがもたらす自動車利用と社会の姿CASEは、交通システムの概念を変えます。自動運転車が手動運転車に比べて高価である一方、人件費が不要になる分、いわば「ハイヤー」が非常に安くなり、自家用車の需要は減ります。そして、セカンダリータスクが快適にできる車と道路に変わってくる可能性があります。また、自動運転車のシェアリングが広がれば、都心部や家に駐車場が不要になり、まちづくりが変わってくるでしょう。 ただし、道路を自動運転車の待機場にさせないなど、適切な自動運転活用のための工夫が必要になります。自動運転車による渋滞の解消とまちのコンパクト化を目指すのであれば、「すべて道路は使った分だけお金を払う」といったインフラの利用料金の考え方を変える必要があるでしょう。362019 WINTER41FORUM

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