Public Space(抜粋版)
13/22

オリンピックが都市に与える影響のキーワードは「流動」だと思います。オリンピックを開催することによって、国内外の人とお金が流動しはじめるということが大きいだろうと思います。例えばバルセロナやロンドンでは、オリンピック開催前から、自分たちの都市をどうするか、パブリックスペースをどう位置づけるかを考えていました。バルセロナでは、オリンピックをきっかけに人やお金が流動する中で、パブリックスペース再生という試みがあったかと思います。ロンドンでは、ニューヨークやパリに負けない世界一の都市にするためにどのようにブランディングしていくか考えていました。そのためには、普通のことをやっても限界がある。だから、2000年にロンドン市を復活させ、オリンピック招致をして、という流れがありました。「The Mayor’s 100 Public Spaces Program」も早い段階で検討され始めています。実は、バルセロナが行ったようなパブリックスペースの再生をロンドン版に置き換えていくということを長い期間をかけて行っている。オリンピックはその作業を加速するもの、起爆剤であったととらえることができます。2つあると思います。1つ目は情報発信。例えば、トラファルガースクエアの再生は、ロンドンの良さをメディア化していくものでした。一方、住宅地のパブリックスペース再生は、社会全体の空間の質を上げるという意味合いがあります。その2つが同時進行で政策に掲げられたということが、100 Public Spacesや、その上位概念であ-- オリンピック・パラリンピックをきっかけにパブリックスペースを考えることの意義をどうとらえるべきでしょうか。-- バルセロナやロンドンはそもそもなぜパブリックスペースに着目したのでしょうか。オリンピック・パラリンピックをきっかけにパブリックスペースを考えることの意義とは。ロンドン・オリンピック・パークの設計に携わられた白井宏昌氏にオリンピックシティとパブリックスペースの関係性について伺う。インタビュアー:安田啓紀・辻本顕(日建設計)オリンピックシティとパブリックスペース対談11

元のページ 

10秒後に元のページに移動します

page 13

※このページを正しく表示するにはFlashPlayer10.2以上が必要です