PYNT BOOK Vol.1
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子育ての課題公共空間TRY & TRY10試行錯誤で積み上げるPYNT流「共創」のしくみ概要仕事と育児の両立は、多くの子育て世帯が直面する課題だ。PYNTでは、これを個別の家庭内の問題としてではなく、地域全体で取り組むべき課題として捉えた。アサヒ飲料株式会社と協働し、同社の飲料ブランド「カルピス®※1」が持つ情緒的価値を基盤に、子どもの成長を象徴する公共空間としての「公園」を中心に据えたサービスコンセプトを開発した。※1「カルピス」はアサヒ飲料株式会社の登録商標です※2 日建設計は設計、指定管理者の一員として管理運営にも関与していますステークホルダー• 飲料メーカー• 公園指定管理者(日建設計)• 公園周辺の地域事業者• 保育事業者• 子ども向けコンテンツ事業者• 仕事と育児の両立を目指す当事者 などプロジェクトの根幹は、子育て環境を地域で支えるための仕組みづくり。そのために、親が子どもとポジティブに距離を取る時間を持つことで、親子関係を深めるという視点を取り入れた。具体的には、渋谷区立北谷公園※2において、地域イベントと連携しながらPoC(概念実証)を実施し、公園を単なる遊び場にとどまらず、親と子がそれぞれ良い時間を過ごせる場として再構築した。さらに、この取り組みは公園の指定管理者として培ったリソースや周辺地域とのネットワークを活用し、地域とブランドの新たな接点を形成することも目指している。今後は、この体験や活動を通じて、飲料メーカー自身のブランド価値を高めることにもつなげるという経営価値にも貢献しつつ、子育て環境をより良くするサービスにつなげていきたい。現在、PoCで得られた調査結果と、保育やケア、コミュニティの専門家へのヒアリングをもとに、仮説の評価とさらなる可能性を模索している。これらのプロセスは、単なる課題解決にとどまらず、公共空間を基盤とした地域全体の価値向上に寄与する新しいまちづくりのモデルが考えられるかもしれない。どうすれば、民間企業と地域が連携し、子育て環境を支えられるか?

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