TRY & TRY6PYNTが生まれた理由は、日建設計の1900年の創業から今に至るまで活動してきた価値観にあります。日建設計は世界中で建築の設計・監理や都市開発などのプロジェクトを手がける組織設計事務所です。そのため、一見「設計をしている会社」と思われるかもしれません。しかし実際は、多様な専門性を掛け合わせることで、目に見えるデザインだけではなく、その根底にある仕組みや制度、組織、生態、データ、あるいは多様なステークホルダーと幅広く新しい価値を創ることを共に考え、総合的にデザインしてきた企業です。時代と共に変化する社会課題を解決するために、幅広く関係性を構築し、最終的にまちや建物に落とし込む。まさに「社会環境デザイン」の先端を拓くことに挑戦してきました。そのために、PYNTは「FUTURE COLLECTIVES」(P8参照)という探求と実践が循環するコミュニティをつくっています。これは、ありたいまちの未来を2つの軸で表現することで、それぞれ同じテーマに関心を寄せる人たちに出会うことができ、複数の視点で共に考え、実践を促す取り組みです。PYNTでは、想いのある人がプロジェクトを生み出すのに必要な要素(課題・場所・技術・資金)のどれを持っているかを意識しながら、実践していけるような組み合わせを意識してつないでいます。日建設計は、2021年に打ち出した中期経営計画で「社会環境デザインプラットフォームへ向けた進化」というビジョンを掲げました。これは、社外のステークホルダーと共に、これまでの取り組みをより加速させていくためのものです。その実装の場として開設されたPYNTは、一般的な仕事のプロセスとは異なる「個人の想いを企業活動につなぎ、社会にインパクトを創る」ための活動の場となっています。設立から約2年の間に、社内外の多様な人々がPYNTを訪れ、そこから30を超える小さな実践=プロジェクトが生まれました。そのうち6つがトライアルのフェーズに進むなど、徐々に大きな構想=社会実装へと動いています。同時に、それらを推し進める共創の仕組みや、具体的なアプローチ手法も徐々に確立し始めています。共創を進める難しさに試行錯誤してきた2年でしたが、様々な共創プロジェクトが生まれ、2025年から社会起業家との共創プログラム「FUTURE LENS」が始動、新たな拠点が増える計画も進むなど、着実な歩みを続けています。私たちはPYNTを、単なる「場」の名称ではなく「社会環境デザインを推し進める活動」だと考えています。小さなトライを繰り返しながら、真摯に社会課題と向き合い、個人の想いを新しいまちの選択肢として実現できるよう活動を続けていきます。試行錯誤で積み上げるPYNT流「共創」のしくみなぜ「社会環境デザイン」なのかPYNTは、「個人の想いを企業活動につなぎ、社会にインパクトを創る」ための活動の場試行錯誤から、未来をつくる
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