Loiduts charity shop/イベント什器のサステナビリティ

Jul 08 / 2021
NADは、東京ビエンナーレ2020/2021にて、2021年8月7日 (土) から出展される「Loiduts charity shop あなたのいらないものが誰かの力になる」の空間構成を担当いたしました。

東京ビエンナーレ2020/2021:
https://tb2020.jp/project/loiduts-charity-shop-help-others-with-second-hand-goods/
Loiduts charity shop:
http://loiduts.studio-l.org/
本サイトの会期等に関するNEWS記事:
https://www.nikken.jp/ja/nad/topics/loiduts_charity_shop.html

「Loiduts charity shop あなたのいらないものが誰かの力になる」はコミュニティデザイナー山崎亮氏とstudio-Lが行う社会貢献型のショッピングを体験できるアートプロジェクトです。「チャリティショップ」はイギリス発祥の社会貢献店舗で、不要になったものを寄付いただき、それを販売することで得た利益を社会課題解決のために利用しています。Loiduts charity shopでは、ごみの排出量削減を目指し、日本人の2人に1人が経験する、がんに影響を受ける人の支援に取り組む団体を応援します。
Loiduts charity shop
出典:studio-L

江戸の暮らしをきっかけにサステナブルを自分事にする

空間構成を行う上で、本プロジェクトの開催地・東京における古着の歴史を紐解きました。1603年に江戸に幕府が開かれて以降、発展を続け、日本の中心は江戸(東京)となりました。当時の江戸では限られた資源を大切に使い続ける、無駄にせず使い切るといった習慣があり、多くの物が修理、修繕をしながら長期間使われ続けていました。衣類に関しても、現在の浅草から新橋あたりにかけて古着文化が栄えたようです。このように江戸では資源をうまく循環させながら、豊かな営みを続けていました。
吾妻遊
出典:吾妻遊
所蔵:東北大学附属図書館
そして、さらなる都市化と消費社会への発展を遂げた現在。世界中でモノが大量生産大量消費され、資源の枯渇や地球環境の悪化が急激に進む中、日本でもゴミの増大が大きな問題となっています。この問題を解決すべく、「資源を半永久的に活用し続け、廃棄を出さない」という考え方のもと生み出されたサーキュラーエコノミー(循環型経済)と呼ばれる仕組みが大きな注目を集めています。日本でもいくつかの企業でサーキュラーエコノミーをはじめとしたサステナブルな取組みがなされ始めています。前述した江戸における暮らしは世界的に見てもその先駆けとも言えるでしょう。
日本が抱える社会課題_ごみの排出量
出典:studio-L
NADは今回の展示で個人レベルのサステナビリティへの関わり、社会問題を自分事化するためのきっかけとすること、その仕組みを構築することを目指した空間構成を考えました。

イベント什器に新たな選択肢をつくる

1つ目に空間を構築するための什器の循環について考えました。イベントにおける仮設的建築は一時的なものでありながらも、場所性やニーズによって全く異なる形状やデザインが求められます。さらに期間を終えると行き場のない”物”として扱われ、イベント終了後には廃棄されるものも多いのが現状です。イベント向け什器のリース事業も普及していますが、各什器のテイストが異なるため、空間全体の統一感を出すことが難しいといった課題もあります。

そこで今回、「ストックしない」工事現場で見られる単管等のリース仮設資材を用いて什器をデザインしました。仮設資材は長期利用でも安価でリースできること、必要に応じてサイズを自在に変更できること、幅広く展開される仮設資材を組み合わせることで全体の統一感を出せることが大きな特徴です。このような仮設資材を用いて、特殊な資格を必要としない範囲でセルフビルドできる、廃棄を減らす「循環型什器」のデザインとその仕組みづくりを試みました。
Loiduts charity shop/イベント什器のサステナビリティ
Loiduts charity shop/イベント什器のサステナビリティ
本企画のテーマのひとつである「衣類の循環」を加味し、机の天板等の面材には廃棄衣料品を原料にしたサステナブルな循環型繊維リサイクルボードを利用しています。什器の組み立てにおいては簡単に手に入る結束バンドを用いて固定しています。イベント終了後には結束バンドを切断し、コンパクトに収納できるようにしています。
今回の展示は「廃棄を減らす什器循環の仕組み」を作る“実験”として位置づけていますが、今後一般ユーザーでも手軽に利用できるデザインや仕組みを検討し、そのいくつかをレシピとして公開、サービスとして展開することを目指しています。

チャリティショップを「知る」空間

Loiduts charity shopのミッションのひとつに、「日本におけるチャリティショップ文化の普及」が掲げられています。世界ではチャリティショップ文化が広く根付き、その形態も様々です。しかし、日本においてはその文化が普及していません。今回の展示では、まずチャリティショップとはどのような仕組みなのか、どのようなプロセスを経て新たな循環や価値を生み出しているのかを体験を通して「知る」ことができる空間構成としました。

メイン会場であるCPK GALLERYでは「回収から販売までのプロセス」と「チャリティショップの仕組み/意義/世界での取組み」を知ることができるエリアに分かれています。

Loiduts charity shop/イベント什器のサステナビリティ
Loiduts charity shop/イベント什器のサステナビリティ
会場の中心に設置した「回収から販売までのプロセス」のエリアでは、スタッフ、ボランティアの皆さんのふるまいを通じてチャリティショップにおけるモノの循環、価値向上の仕組みを体験できるよう構成しています。空間を構成するにあたり、前述の仮設資材を用いた什器を使用し、会場のメインビジュアルとなるよう江戸の古着文化をメタファーに円形の大きな暖簾を設置しています。

Loiduts charity shop/イベント什器のサステナビリティ
会場の壁面にはLoidutsがチャリティショップを始めるに至ったきっかけや世界のチャリティショップ調査、日本のゴミ問題など様々な情報を展示しています。(グラフィックデザイン:Loiduts)
Loiduts charity shop/イベント什器のサステナビリティ
周辺に東京ビエンナーレ2020/2021の別会場がなく誘引効果が必要であったため、屋外にも空間を展開して目印とすること、ビエンナーレ会場の「飛び地」としてわざわざ来ていただくお客様の休憩スペースとすることを目的に、会場前面の道路が袋小路になっている特長を生かして屋外に滞在スペースを確保しています。
※新型コロナウイルス感染拡大防止の対応を行っています。
Loiduts charity shop/回収ボックス
Loiduts charity shop/回収ボックス
またサブ会場である丸の内周辺のオフィスビル、商業施設のエントランスに回収ボックスを設置しています。メイン会場同様、工事現場で廃棄物を集める網かごに蓋を取り付けた簡易なボックスとし、会期後の廃棄物の削減に取り組んでいます。
プロジェクト担当
勝矢武之・飯島敦義・上田孝明・恋水康俊
什器デザインパートナー
宮崎侑也
協力
日本コパック株式会社