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日建設計は、中国最大規模の交通ハブ「深圳市西麗総合交通ハブ」の国際コンペに当選しました。

2022年5月、深圳市地下鉄集団有限公司は「深圳市西麗綜合交通ハブ都市デザイン及び核心区建築設計国際コンペ」の選定結果を公告し、株式会社日建設計と中鉄第四勘察設計院集団有限公司、深圳市建築設計研究総院有限公司、深圳市都市交通計画設計研究中心株式有限公司によるJV連合体が設計者として選出されました。

駅とまちの境界を超える[TOD4.0]--深圳・西麗総合交通ハブ

日建設計は、これまで経済的で効率的な「駅とまちの融合」という理念を基に駅まち一体開発(TOD)に取り組んできました。そして、この西麗総合交通ハブでは、中国初となる TOD4.0「駅、まち、人、自然の融合」というアイデアを提起しました。本プロジェクトは、駅とまちを隔てる境界をなくし、駅のイメージを変え、都市活動、都市機能、そして自然環境を駅に取り込むなど、革新的な理念を取り入れています。

私たちは、乗り換え空間の動線整理から都市レベルのつながりに至るまで、これまでの経験を凝縮し、また中国の実情に合わせて一つ一つ丁寧に計画に落とし込んでいきました。そして、これまでの既存のまちづくりのあり方を超え、「リボンシティ」というコンセプトにより、分断されていた駅とまちの連続と融合を図りました。
先進都市深圳に、新しいTODが芽吹き始めています。

TODコンセプトの進化

駅夜景鳥瞰

西麗ハブの三大理念

Vision01:新しい都市の大地
「駅とまちを隔てる境界をなくし、融合させることで、駅周辺都市の理想形をさらに進化させる。」

本プロジェクトでは、公共交通システムを前提としたTOD都市開発・沿線開発の理念に基づき、「駅・まち・人と自然」を有機的につなぐことで、駅を基点に都市再生や地域活性化を誘発し、TOD効果を周辺の街へと波及させていくことを目指しています。また、容積率の置換えや共同事業などの手法を通して、駅と周辺地域を隔てる境界や事業者間の境界を消し去り、自然と技術の調和がとれた、よりヒューマンスケールな新世代ハブを創出します。

また、本計画は、三大戦略(CONNECT[つながり]、BLEND[融合]、BALANCE[調和])と17項目の設計原則を掲げるとともに、高速鉄道網の拡大を目指す国家戦略とTODを通じた都市発展を目指す深圳市の双方が協調する初の取り組みとなっており、Win-Winの関係実現を目指しています。

TOD4.0を実現する3つの戦略と17項の原則

容積率の移転による公共空間リソースの取得

駅北広場鳥瞰

TODによる総合的なまちづくりにより、良質で洗練された建築空間の創出を担保するとともに、高速鉄道駅を中心とした快適な公共空間を周辺街区にシームレスに広げることができます。多種多様なステイクホルダーが、さまざまな垣根を越えて連携し、地域全体の付加価値の向上に協力して取り組むことで、事業者、管理者、施設利用者、市民、それぞれにメリットをもたらします。

駅東呼吸広場

駅東呼吸広場

駅西呼吸広場

駅東協調区

Vision02:都市のセンス・オブ・アライバル
「高速鉄道駅を都市の中心に創ることが長距離旅客者にとっての理想。それを、西麗高鉄駅で実現する。」

西麗総合交通ハブは深圳市南山区中北部、東西の都市景観軸と南北の都市イノベーション産業発展軸が交差する地点に位置する、深圳の地理上、最も重要な総合旅客輸送ハブです。約2200m×約700mの敷地内に、4本の高速鉄道線路(赣深、深茂、深汕、深珠)を引き入れ、全体で13プラットホーム、25線路を持つ深圳最大の高速鉄道駅になります。駅の北側では2本の都市間鉄道線路(深恵、深莞)が地下鉄13、15、27、29号線と立体的に交差します。近距離・長距離路線が融合する鉄道と北側道路との間の駅北側乗り換え空間は多様な人々が集まり、将来的には1日の平均乗降客数が130万人を超える深圳市最大の交通ハブとなることが予想されます。

駅北広場と高鉄線路上待合室は西麗の最も象徴的なホスピタリティ空間となります。効率的で便利な動線と豊かな自然の風景は、西麗の“顔”として利用者を出迎え、旅の高揚感「センス・オブ・アライバル」を演出します。

駅南北断面図

駅北広場と駅舎

高鉄線路上待合室

駅北側乗り換え空間

駅北広場

Vision03:駅、まち、人と自然の融合
「深圳という先進都市で日々成長、生活し、奮闘する人たちへのプレゼント(リボン)になるような場を目指して。」

本プロジェクトの最大の特徴は、駅舎頂部と両側の都市がつながる「リボンシティ」というランドスケープコンセプトです。
「リボンシティ」は「新しい都市の大地」「センス・オブ・アライバル」「駅・まち・人と自然の融合」の3つのコンセプトを軸に計画しています。同時に前海湾や大沙河の水系や植生と合わせて深圳のまちを囲む水と緑の循環を形成し、線路や駅舎による都市の分断を避けるため、地上地下に歩行者ネットワークを張り巡らせ、都市をつなぎ合わせます。都市の中でリボンのようにつながる交通動線や駅舎空間は、人々のアクティビティや深圳の気候などを考慮してランドスケープと一体的に計画されており、都心のオアシスであると同時に東西南北を有機的につなぐネットワークを形成します。

リボンシティ形成コンセプト

駅鳥瞰

リボンシティの設計コンセプト

リボンシティ・駅西側

リボンシティ・駅東側

「都市と共存、共生し、共に変化する駅の新たな形。~未来のグリーン・低炭素都市への願い~」

日建設計は本プロジェクトの立案に当たり、JV連合体の各企業や本事業に関わる関係機関と緊密にコミュニケーションを取り合ってきました。深圳に次世代のTODを実現させるため、今後も連携して事業を推進していきたいと考えています。

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