テーマパーク開発の水先案内人

Ⓒ Moomin Characters™

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埼玉県飯能市にある宮沢湖を中心とした広大なエリアに、フィンランドおよび日本でも人気の高い「ムーミン」の物語の世界を追体験できる「ムーミンバレーパーク」と、「北欧」のライフスタイルを感じられる「メッツァビレッジ」の2つのゾーンがある施設「Metsä(メッツァ)」が誕生しました。ムーミンの原作者であるトーベ・ヤンソンの故郷フィンランドを除きムーミンを主題とした施設は日本が世界初進出となります。トーベ・ヤンソンの姪ソフィア・ヤンソンが、ムーミンバレーパークのすべてを監修しました。
日建設計は設計・監理の立場ではなく、第三者の立場で発注者に対して開発事業の推進支援を行うコンサルタントとして、この「メッツァ」プロジェクトの初期段階から参画しました。ここでは企画から設計、施工、維持管理にわたる様々なフェーズで当社が提供してきたコンサルティングサービスをご紹介します。

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原作の世界観が忠実に再現された「ムーミン屋敷」の内観 Ⓒ Moomin Characters™

投資銀行が仕掛けるテーマパーク開発

クライアントであるフィンテックグローバル社はストラクチャードファイナンスに特化した投資銀行ですが、地方創生に資する不動産証券化をテーマに建設地の飯能市と協定を結び、「メッツァ」の開発に乗り出しました。しかし、フィンテックグローバル社は投資銀行業務が主体ということで、当然ながらテーマパークはもとより建設プロジェクトの発注経験がほとんどありませんでした。そのため、事業内容が具体化する前の初期段階からクライアントを支援し、いかにして私たちがプロジェクト推進の“水先案内人”を担えるかが課題でした。

トーベ・ヤンソンの人生に触れながらムーミンの物語を追体験できる場所「KOKEMUS(コケムス)」 。コケムスはフィンランド語で「体験」を意味する。Ⓒ Moomin Characters™

企画から開業まで、フェーズに合わせたコンサルティングサービスの展開

建設地は市街化調整区域に位置していることもあり、開発許認可の進め方が事業スケジュールに大きく影響することは明らかでした。私たちは最初に大まかな施設計画を作り、それをベースに開発許認可の方針を行政に確認しつつ、将来の不動産証券化も見据えた事業区域の設定、インフラ整備計画、工事費の大概算や複数の発注方式を想定した事業スケジュール案の検討を盛り込み、計画の骨格を取りまとめました。設計者がまだ決まっていない中で計画を前に進めるためには、このように基本構想レベルのものを取りまとめることもありますが、日建設計の他部門や日建グループの各専門家との協働により作り上げています。
その後、設計者が選定されてから竣工するまでは、各設計者間および施工者のコミュニケーションマネジメント、設計監理者・施工者の業務のモニタリングや工事費増減の管理といった役割に移行しました。特にコミュニケーションマネジメントについては、建築や土木・ランドスケープの他に、テーマパーク特有の特殊な内外装や展示物、セキュリティ、立体駐車場など、関係者が非常に多かったため、竣工直前まで関係各社間の調整支援に奔走しました。また、テーマパーク開発ではよくあることですが、より良いモノを目指すとどうしても現場段階に入ってもたくさんの設計変更が発生します。限られたスケジュールのなかで設計変更をこなし、工事費増減をコントロールすることは困難でしたが、無事竣工を迎え、クライアントの期待に応えることができました。

コケムスにあるレストラン「ムーミン谷の食堂」 Ⓒ Moomin Characters™

小さな発見に満ちた北欧時間の流れる森と湖「メッツァ」の開業、そしてその後

こうして2018年11月に「メッツァビレッジ」、2019年3月に「ムーミンバレーパーク」が無事スケジュールどおりにグランドオープンを迎えましたが、日建設計によるコンサルティングサービスはこの後も続きます。施設がオープンしてからは、クライアントは施設運営の課題に対処していく必要がありますが、引き続き施設の維持管理に対して技術的な助言を行うコンサルティングを担当しました。

“勇気”、“挑戦”、“友情”、“家族の絆”をテーマとした、体感モーフィングシアター「海のオーケストラ号」 Ⓒ Moomin Characters™

『今後の展望』

日建設計は建築設計・監理・都市計画を中心とした総合コンサルティングファームとして、これまで数多くのプロジェクトを手掛けてきましたが、そこで培った日建設計内部の各部門や日建グループ各社の知識や経験をインテグレートし、新たに総合的で価値の高いソリューションを提供する試みを進めています。
私たちは今後も「メッツァ」のように、他社が設計・監理等を手掛けるプロジェクトに対してもクライアントのニーズをくみ取りながら、プロジェクトの様々なフェーズで状況に応じたオーダーメイドのソリューションを提供していきます。

北欧のライフスタイルを体験できる施設「メッツァビレッジ」

  • 高津 敬俊

    高津 敬俊

    執行役員
    都市・社会基盤部門
    基盤開発グループ代表

    1998年、信州大学大学院工学系研究科を修了後、日建設計に入社。
    入社後、設計室、計画事務所を経て、現在の都市・社会基盤部門に所属。
    国内の廃棄物処理施設、環境アセスメント、開発・建築PMなど、数多のプロジェクトを担当。
    武蔵野や町田市など、都内を中心とした都市型廃棄物処理施設のコンサルティングに携わり、その経験を活かし、物流施設や医療施設・工場等の環境アセス・開発PM・建築PMなどを展開。
    技術士(廃棄物管理・都市及び地方計画)、日本環境アセスメント協会・理事(海外交流セミナー委員長)。

  • 松尾 哲彦

    松尾 哲彦

    企画開発部門プロジェクトマネジメントグループ
    ダイレクター

    2007年、大阪大学大学院地球総合工学専攻建築工学コースを修了後、日建設計入社。
    専門は建築のプロジェクトマネジメント。
    入社以来、マネジメント・コンサルティング業務に従事しつつ、設計部門で生産施設・大規模再開発等の設計監理を多数経験。その後日建設計コンストラクション・マネジメントへの出向を経て、近年はオフィス、研修施設、大学キャンパス、工場やデータセンターからテーマパークに至るまで幅広い分野の建築プロジェクトのマネジメント業務を担当している。
    一級建築士、認定コンストラクション・マネジャー、認定ファシリティマネジャー。

  • 和田 陽介

    和田 陽介

    企画開発部門プロジェクトマネジメントグループ
    アソシエイツ

    2010年 法政大学大学院建築学専攻を修了後、組織設計事務所を経て2017年日建設計に入社。専門は建築プロジェクトマネジメント。
    他社設計案件も含め、ホテル、テーマパーク、生産施設などの幅広い分野で、プロジェクトマネジメントおよびオーナーコンサルタントとして携わる。
    近年は、主に外資系ホテルのプロジェクトマネジメントに従事。
    メッツァビレッジ・ムーミンバレーパーク(2019)、フォーシーズンズホテル東京大手町(2020)、長崎マリオットホテル(2024)、コートヤード・バイ・マリオット福井(2024)など。

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