設計の決定点
第1回:迷路をほどき、駅と街をつなぐ
重慶・沙坪壩TODを動かした3つの判断ポイント
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完成した建築や都市開発の魅力は、写真や数値に現れ、その根源であるコンセプトは様々なシーンで語られます。しかし、一つのプロジェクトが完成を迎えるまで、設計の現場では何が起こっているのでしょうか?それまで実存しないものを創造する過程では無数の可能性があり、無数の「判断」の積み重ねがあります。限られた時間、複雑な制約、複数の関係者——条件が厳しいほど、どの論点を優先し、何を捨て、どう確かめて前に進めたかが、やがて現実化する建物の質を左右します。
シリーズ「設計の決定点」では、完成プロジェクトの紹介ではなく、設計チームがどんな判断ポイントで、どんな思考プロセスで最適解に収束させたのかを取り上げます。
語り手は設計チームを率いたグローバルデザイングループ部長丁炳均。関係者の「触覚」を重視したコミュニケーションの工夫など、今日のプロジェクトにも応用できるヒントが詰まっています。
©Chongqing Longfor Jingnan Properties Co.,Ltd.
判断ポイント1:まず“人の動き”を解く——迷路をほどく骨格づくり
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©Large Format Photography Studio
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Cross-section of the Urban Core
日建設計は、既存計画案に対する検証を行う1.5ヶ月の短期コンサルティングの依頼がきっかけとなり、このプロジェクトに参加しました。当時の計画案の最大の課題を、「駅とまちがつながっていない」ことだったと丁は振り返ります。インターシティ・地下鉄・バス・タクシー・一般車という5種類の交通が複雑に絡み、地下7階から地上までの動線も迷路のようで、乗り換えルートが直感的に分かりにくい。そして巨大な開発区自体が周辺街区を分断していました。
全体スケジュール
コンサル段階の提案
動線整理
判断ポイント2:短期間で決め切る場・材料・人——ワークショップで合意形成を加速
2017年7月のワークショップ
2017年8月ワークショップ、プラン方針を検討
こうして後戻りのない判断が連鎖し、プロジェクトはハイスピードで前に進みました。
2018年6月中間報告時に使用した模型
判断ポイント3:模型でリアルを共有する——触覚で迷いを減らし、後戻りを防ぐ
VRによるデザイン確認
材料選定
現場確認
緊急事態への向き合い方——「できない」を受け止め、価値を組み替える
立面デザイン案(途中経過)
おわりに:丁炳均からのメッセージ
建物の実存性が実感できない設計過程において、関係者が現実味を持って参画するためには、手で触れる模型が大きな助けになります。私はもともと模型を作ることが得意で、他の人がスケッチをするように、模型を作ってしまうタイプです。マネジメントが主な役割となってから、自分で作ることは徐々に少なくなっていきましたが、このプロジェクトの模型は全部私が作っていました。ワークショップの参加者が、みんなで模型を囲んで、それぞれ自分の手でちぎったりくっつけたりしながら、デザインを自分事化していくのを見るのが醍醐味でした。仮想現実技術が発達する中で古い考え方かもしれませんが、建築に携わる人には、様々な立場でプロジェクトにかかわる人々と「触覚」を共有するということを、これからも大事にしてほしいと考えています。
丁が手掛けた様々な模型
