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街/環境とつながる摩天楼「ミュージアムタワー京橋」。
「創造の体感」を生み、人、アート、都市、すべてに開かれた美術館「アーティゾン美術館」がオープンしました。

日建設計が設計を担当させていただきました「ミュージアムタワー京橋」が昨年7月に竣工し、低層部の「アーティゾン美術館」が1月18日にオープンいたしました。
ミュージアムタワー京橋は、東京駅前の京橋に位置するハイグレードテナントオフィスと美術館からなる、高さ約150mの建物です。1951年に、当時の最先端建築である旧ブリヂストンビルをこの地に建てた創業者石橋正二郎氏の哲学を継承し、2020年の社会環境、技術の先端をデザインで体現する、新しい時代の建築をクライアントと目指しました。
京橋は、江戸時代から続く歴史ある街です。一方で、日本有数の商業エリアである銀座と日本橋の間に位置していることから商業、オフィス、文化が混在し、今後新しく街が育っていくエリアでもあります。
ミュージアムタワー京橋は、そんな街にふさわしい超高層オフィスと美術館は何かを追求した建物です。

藤井浩司

アートと文化をテーマに街とつながる

半径63mの球体で切り取られたシンボリックな形状のルーフトップをもつミュージアムタワー京橋は、その足元に特徴があります。
古くからの街並みの中に突然現れた高層ビルでありながら、周辺建物のスケールに合わせて、高層部と低層部で素材を変え、既存の街になじむデザインとなっています。
この建物のあるエリアは、隣接街区に建設中の「(仮称)新TODAビル」と共に、「京橋彩区」と名付けられ、アートと文化を核にしたエリア形成を目指しています。そしてその象徴的な空間として、美術館や文化施設の他に、2つの街区に挟まれた「アートスクエア」と呼ばれる広場が計画されています(2024年竣工予定)。
1階から6階にある「アーティゾン美術館」は、石橋正二郎氏のコレクションを礎とし、ブリヂストン美術館から館名を新たにした歴史ある美術館です。美術館内部は、幅や奥行き、高さに多様性のある空間を不連続に配置した構成となっており、立体路地のような空間となっていることが特徴です。訪れる人々は、京橋の街を歩きながらふらりと美術館に入り、そのまま街を散歩しているかのように巡りながら、自然にアートに出会います。
1階に設置されたミュージアムカフェの扉は、高さ8メートルの巨大な9枚の連動回転扉となっています。アートスクエア誕生後には、その扉が広場に対し開かれることで、広場と一体となり、街とつながっていきます。

1階のミュージアムエントランスは、広場の一部としてミュージアムカフェと2/1階に吹抜けでつながるミュージアムショップが見えます。高透過ガラスがはまった、高さ8m・幅2.5mの電動大型回転扉が9枚あるのも特徴です。1,4-藤井浩司 2,3,5-野田東徳 [雁光舎]

自然と融合した超高層ビル

自然と切り離されがちな超高層ビルのオフィス空間ですが、この建物は21階から23階にスキップフロア型の屋上庭園を有しています。さらに超高層ビルに自然を融合させるための新しい試みとして、オフィス空間内部に屋上庭園が入り込むような平面構成としています。
  • 22階平面図 22階平面図

  • 23階平面図 23階平面図

  • 野田東徳 [雁光舎]

  • 野田東徳 [雁光舎]

高層部のファサードは小さなアルミ型材を6つ組み合わせたルーバーで覆われています。これは、建物に反射した光の周辺への影響を低減するため、また室内から見た時には、6つのアルミ型材の組み合わせを4面ある建物の各面ごと変えることにより入射光を操作し、そこにふさわしい光に変化させて取り入れるための工夫です。コンピュテーショナルデザインを活用し、アルミ型材の組み合わせを最適化しています。
  • 藤井浩司

  • 野田東徳 [雁光舎]

  • 藤井浩司

まちに開かれた芸術文化拠点の形成を、都市貢献の1つとしたこの街区*1は、「京橋彩区」*2として2019年春にエリアマネジメント活動を開始しています*3。建物単体ではなく、街区全体として、さらには京橋の周辺の街へ賑わいが広がっていくことを目指した、アートと文化のパブリックスペースの試みはまだ始まったばかりです。
*1ミュージアムタワー京橋/アーティゾン美術館は、都市再生特別地区に指定されたA~C街区からなる「京橋一丁目東地区」のA街区。B街区は「(仮称)新TODAビル」は既存建物解体工事中。
*2「京橋彩区」は、開発街区のうち、低層部の文化貢献施設部分の名称。
*3一般社団法人 京橋彩区エリアマネジメント
建築名称 ミュージアムタワー京橋/アーティゾン美術館
建築主 株式会社永坂産業・公益財団法人石橋財団
建設地 東京都中央区京橋
設計・監理 日建設計
主要用途 事務所・美術館
敷地面積 2,813.74㎡
建築面積 2,212.83㎡
延床面積 41,829.51㎡
構造 S造 一部RC・SRC造(免震構造)
階数 地下2階 地上23階 塔屋2階
高さ 149.56メートル
施工 戸田建設株式会社

各種デザイナー
美術館内装デザイン:TONERICO:INC
美術館サインデザイン:廣村デザイン事務所
展示ケース照明デザイン:(株)キルトプランニングオフィス
オフィスサインデザイン:STUDY LLC.
街区全体エリアマネジメント(ファシリテーター):NIKKEN ACTIVITY DESIGN Lab

写真:2,5-8,10 野田東徳 [雁光舎] / 1,3,4,9,11 藤井浩司

矢野雅規

矢野雅規
設計部門 ダイレクター

2006年に日建設計入社。専門は建築意匠設計であるが、美術館をはじめとし、アートと都市、建築、環境が結びついたプロジェクトを多く設計している。美術館の設計に特化した高度な知識と実績はもちろん、建物用途を問わず、小さな森の芸術学校から超高層建築まで、規模や分野を横断した幅広い経験がある。手がけた設計は、「ホキ美術館」「明治神宮外苑研修棟(東京藝術学舎/京都芸術大学外苑キャンパス)」「八十二銀行研修所」「ミュージアムタワー京橋/アーティゾン美術館」など。

プロフィール

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