PRESS RELEASE

地下空間に“まるで地上”の光を再現する自然光模擬照明、脳波測定によりリラックス・集中力向上効果を実証
今後は自然光の届かない教育施設や病院、オフィス、ホテルなどに展開目標

株式会社日建設計(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:大松敦、以下「日建設計」)は、地下空間など自然光が届かない環境に“まるで地上のような光”を再現する照明手法「自然光模擬照明」の開発・社会実装を進めており、この度脳波測定によってその効果を検証しました※。検証を通じ、本照明手法を取り入れたバイオフィリックな環境が利用者のリラックス状態や集中力向上に寄与することを定量的に実証しました。
※本実証は中央大学との共同研究です

地下空間に設置した自然光模擬照明(左:点灯時、右:消灯時)

開発背景:建築の地下活用が必要な現代、人間へポジティブに作用する自然光が届きづらく

自然光は人々に心理的な安らぎを与えるだけでなく、健康やメンタルヘルスなど、多くの面でポジティブな作用があることが知られています。しかし近年、特に土地の限られた都市部を中心に、敷地の高効率利用や地下空間の活用が必要な建築も多く、教育施設、研究施設、病院・介護施設、オフィス、ホテルなどにおいて、自然光が十分に届かない空間も存在します。

概要:地下に “まるで地上” のような光を届ける照明手法「自然光模擬照明」

日建設計ではこうした課題に着目し、異なる光の色味を持つ照明の組み合わせにより自然光の特性を模した光環境を人工的に創出する照明手法「自然光模擬照明」を開発しました。

光の色味が10,000K(ケルビン)の天空光模擬照明、5,000Kの直射光模擬照明の2種類を組み合わせ、これらを地下空間の植物などに向けて照射することで、まるで地上のように自然な光の分布や影を再現します。地下階であっても太陽光を感じさせる空間を演出し、閉鎖感の緩和と快適性の向上を図っています。

実証結果:脳波測定によってリラックス・集中力向上を定量的に確認

今回の実証は、中央大学と共同で実施したものです。同大学では法学部と大学院法学研究科を東京都文京区の茗荷谷キャンパスに移転するにあたり、敷地の制約から自習室を地下に配置する必要がありました。地下の閉鎖的な空間で難関試験に挑む学生の学修環境が懸念されたため、リラックスの質を高め、質の高いリラックスから休憩後の高い集中効果をもたらすことを目標として、2023年4月に自然光模擬照明を実装しています。

今回の実証実験は客観的・定量的な視点から意図した効果を検証するため、同大地下自習室を利用する学生を対象に脳波測定機を用いて実証しており、以下の結果が明らかとなりました。

1. 休憩時にはリラックスに寄与する脳波が増加
自然光模擬照明の点灯下では、消灯時と比較してリラックス状態を示す低周波帯域(θ波、α1波)が増加した被験者の割合が多い結果となりました。休憩時の脳波を測定・比較したところ、θ波、α1波ともに消灯時の20.0%に対し、自然光照明点灯時は57.1%を示しています。
2. 休憩後の覚醒度(集中力)の向上
リラックス状態の休憩を経た後の作業時において、覚醒や集中に寄与する高周波帯域(β2波、γ波)が増加した被験者の割合も消灯時に比べて顕著に上昇しました。β2波では消灯時40.0%から点灯時71.4%、γ波では消灯時40.0%から点灯時85.7%まで上昇しています。

これらの結果から、自然光模擬照明が質の高い休憩をもたらし、結果的にその後の高い集中状態への切り替えを円滑にする有効な手法であることが確認されました。

実証概要

・期間:2025年6月20日~6月28日
・対象:中央大学地下階の自習室を実際に利用している学生34名
    (このうち、消灯時に休憩した5名と点灯時に休憩した7名の脳波を比較)
・方法:脳波測定器を装着し、通常自習室で行っている資格試験に向けた学習時の脳波を取得
・解析タイミング:休憩時(休憩前10分間~休憩中)、休憩後(休憩前10分間~休憩後10分間)における脳波を解析

「社会環境デザイン」を掲げ、建築や都市が抱える多様な課題解決に取り組む日建設計では、今回の実証で得られた知見に基づき、今後は採光条件の厳しいオフィス、教育施設、医療・福祉施設、ホテル、工場など幅広い用途の建築へ本照明手法を提案・展開していく予定です。土地や建築の条件が限られた環境下においても、人々が十分にリラックスし、また必要な際には集中しやすい空間づくりを推進することで、建築の価値最大化を目指してまいります。

日建設計について

日建設計は、建築・土木の設計監理、都市デザインおよびこれらに関連する調査・企画・コンサルティング業務を⾏うプロフェッショナル・サービス・ファームです。1900年の創業以来125年にわたって、社会の要請とクライアントの皆様の様々なご要望にお応えすべく、顕在的・潜在的な社会課題に対して解決を図る「社会環境デザイン」を通じた価値創造に取り組んできました。これまで⽇本、中国、ASEAN、中東で様々なプロジェクトに携わり、近年はインド、欧州にも展開しています。

本件に関するお問い合わせ先

株式会社日建設計 広報室 Tel. 03-5226-3030  e-mail:webmaster@nikken.jp

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