コストマネジメントレポート
2022年10-12月号を掲載しました。
「建設物価の上昇継続 鋼材価格は一服するも設備工事は続伸」
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「コストマネジメントレポート」(季報)は、国内外の経済情勢を概観し、設計事務所トップシェアの実績から得られる豊富なコストデータを活かし、中立的な視点での独自の建設市場分析結果をタイムリーにお伝えしていきます。
※本レポートは情報提供を目的として日建設計エンジニアリング部門コストマネジメントグループが作成しています。記載の内容等は作成時点のものであり、完全性を保証するものではありません。内容等は予告なしに変更する場合があります。本レポートの無断転載を禁じます。
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建設物価の上昇継続
鋼材価格は一服するも設備工事は続伸
民間建築投資は増加の見込み
設備サブコンは堅調に手持ち工事高を確保
*1:大手空調サブコン:高砂熱学工業、大気社、三機工業、ダイダンの4社。。
*2:大手電気サブコン:きんでん、関電工、九電工、ユアテック、トーエネックの5社。
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図1 民間建築投資(住宅・非住宅)の推移
国土交通省「建設投資見通し」、建設経済研究所「建設経済モデルによる建設投資の見通し」より作成
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図2 設備サブコンの受注高・手持ち工事高の推移書
各社決算資料より作成
鋼材価格高騰に一服感
*3:AGC・日本板硝子・セントラル硝子
建築(鋼材)の上昇幅は縮小
設備工事は拡大
厳しい受注競争が続く一部の超大型案件以外では、資材価格等の上昇を工事費に転嫁しやすい状況がみられ、今後も建設物価が下がりにくい状態が続く可能性がある。
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図3 鋼材販売価格の推移
東京製鐵「建材価格表」より作成 -
図4 NSBPIの各工事の前期からの増減率の推移
日建設計資料より作成
建築緩むも設備は加速、総合指数の上昇が続く
日建設計標準建築費指数NSBPI
鋼材の上昇圧力が弱まり、全体を推し上げる勢いが緩む結果となったが、ガラスなど秋以降の値上げを表明するメーカーもあり、建築資材の価格上昇圧力は依然として強い。
設備サブコンの選定に苦労する事例が増えており、設備機器に加え設備労務費の上昇圧力が強まっている。
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図5 NSBPIの推移
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図6 NSBPIの増減率と建築・設備の寄与度
原油価格は下落も円安進行は続く
一方、円相場は円安が進み140円台に突入、1990年代後半の水準となった。円安進行が長く続くとメーカーの負担が増し、価格転嫁が進む可能性が高まる。
労働者不足感は高い水準で推移
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図7 原油価格・円相場の推移
The World Bank「Commodity Prices」、日本銀行「為替相場」より作成 -
図8 建設技能労働者過不足率の推移
国土交通省「建設労働需給調査(8職種計・全国・季節調整値)」より作成