Project Flow

阿波銀行本店
新築移転計画

#01

パブリックスペースの
中にある銀⾏

地⽅銀⾏として、これからの時代を⾒据えたサービスのあるべき姿を体現する旗艦店舗の新築移転計画。外装は規律ある端正なフレームによる構成とし、本店の品格・⾵格を感じられる佇まいとした。銀⾏機能の他に様々な機能を散りばめ、顧客はもとより、地域の⽅々にも多様な過ごし⽅や出会いを経験していただける店舗を実現した。

DATA

主用途 ⾦融機関
所在地 徳島県徳島市新町
敷地面積 1,775.14㎡
規模 延べ4,974.08㎡
最高高さ GL+21.918m

Challenge

ー未来の金融サービスをゼロから考えるー

Challenge1

顧客・地域・銀行が
Win-Win-Winの関係になるように

地域のインフラ企業である銀⾏に求められていることは何か。阿波銀⾏にとってのお客さまは誰なのか。提供すべき価値とは何なのか。議論の末、たどり着いた答えは、「阿波銀⾏の提供する価値に共感してくれる⼈々のパートナーになる」こと。出会いと対話を⽣むため、地域住⺠、観光客にも積極的に訪れてもらう、パブリックスペースを中⼼に据えた構成がふさわしいと考えた。

延床⾯積の6割をパブリックスペースとし、コンシェルジュとお客様のコミュニケーションを促す多様な場を設計。

階⾼を3,800mmに抑えて勾配を緩やかにした、上り下りしたくなる階段を配置。

地元企業や創業を志す⽅のチャレンジを⽀援する「スタートアップショップ」を常設。

ー「品格」と「にぎわい」が共存する建築ー

Challenge2

「堅実経営」の精神を
体現する建築つくり

創業123年の阿波銀⾏の歴史を⽀えてきた⾏是「堅実経営」。阿波銀⾏の旗艦店舗として、「原理原則に基づき、信⽤を重んじる」、「良き伝統を守り、未来に挑戦する」という意味が込められた、この⾔葉の精神を体現する建築をつくりたいと考えた。建築の原理原則である⽔平・垂直を基本とした端正なフレームで構成した⾻格と、徹底したモジュール設計により、建築全体に規律を与えた。

外装をセットバックさせて建築に奥⾏を⽣み出すとともに、商店街の活動を引込む計画とし、レベルの異なる床を外部に貫通させ、内部のアクティビティを表出させた。

天井は床吹出し空調を採⽤、天井内のダクトをなくして点検⼝を不要とするとともに、柱スパンと柱型の最⼩⼨法から導き出した600mm+85mm のスリット天井によるデザイン。

Timeline History

ー阿波銀行 設計プロセスー

2013

プロジェクトSTART!

本店営業部計画1-基本構想・基本設計-

2014

●社内デザインレビュー

過去事例の⾦融機関のつくりを研究して基本設計デザイン。社内のレビューでは多くのことを盛り込みすぎているという指摘が入ってNGに。テーマをひとつに絞って、心を打つデザインを目指す。

●デザイン再検討
社内デザインレビュー

「動く外装」といったハードルの⾼いチャレンジを取り入れながら、シンプルなデザインを再検討。社内での承認も得られるデザインに。クライアントへの提案を進める。

クライアントに基本設計案を提案

基本設計プレゼン直前で計画中断

本店営業部計画2-コンセプトワーク-

●未来の「金融サービス」について

既存の銀⾏店舗ではなく、未来の⾦融サービスのあり⽅と、それを提供する場にしたいという要望に。ワークショップを開催し、様々な取り組みを通じて、「銀行」をつくるのではなく「体験を届ける」という考え方をしていく。

●空間モデルをスタディする

コンセプトを定めることはもちろん、どんな空間に落とし込めるかを考える。ヒダのような空間、ハニカム構成など、様々な手法を長期間かけて検討。ついつい歩きたくなる楽しい空間を目指す。

コンセプト承認!

阿波銀行が提供する価値に
共感してくれる人々の
パートナーになること

基本設計

2017

●基本設計プレゼン1
-藍倉案

阿波銀⾏は藍商⼈に由来する銀⾏であり、その昔、本店が建つ新町川には「藍倉」が建ち並んでいた記録もあるため、勾配屋根が連なる構成で提案。外装はテラコッタで徳島名産の「しじら織り」を表現した。

●基本設計プレゼン2
-石張りフレーム案

「品格とにぎわい」が共存する⼆⾯性のある建築。⽔平・垂直の⽯張りフレームで規律を与え、内外を貫通するスラブで内部のにぎわいを外部に表出させる。建物内部はスキップフロアを採⽤して、ぐるぐる回りたくなる回遊性の⾼い空間に。

実施設計

発注契約

解体・新築工事

●外装石張り

石材を別のものにする変更要望などもありながらもディテールが解決。⽯の下地が鉄⾻や壁などであり、層間変形⾓も大きいため難しい施工に。経験豊富な監理メンバーの協力で実現に向けて取り組んでいく。

●外装石検査@中国×3

実物⼤模型で納まりを徹底的に確認。⾃然⽯なので、多少の⾊味の差は許容するが、実物を⾒ながら、許容範囲を現地スタッフに伝達。壁石を実際に敷きならべて屋上から⽬視で確認していく。

2019

無事竣工!